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セミナーレポート「Mayaポリゴンモデリングセミナー」2

2017年3月27日、ダイキン工業株式会社において、3DCGクリエイターの牛山雅博氏によるセミナーが行われた。タイトルは、「Mayaポリゴンモデリング 美しい形を生む分割方法の研究」。講師として登壇した牛山氏は、モデリングからアニメーションまで手掛けるクリエイターとして多数の受賞歴を持ち、専門学校の講師も務めるプロフェッショナル。また、牛山氏の手による自主製作アニメーションはその制作技術の高さ、ハイクオリティな映像美から、絶大な支持を集めている。そんな牛山氏が、ご自身が制作時に用いる技法や有益なtipsを披露するということで、セミナー会場にはたくさんのエンジニアやクリエイターが集結した。今回はセミナーレポートの後編をお届けする。

「Mayaポリゴンモデリングセミナー」1より続く

 

実際に試した経験がものを言う、スムーズメッシュの世界

次に、スムーズメッシュについて知っておくべきことが、かなりの時間を割いて詳細に語られた。ショートカットキーの扱いに始まり、レンダリング時にスムーズを使うか使わないのかの選択について、スムーズの丸まり方の性質を利用して作る形状について解説された。

「スムーズを使う場合には、その性質をきちんと把握していないと最適なモデリングはできません。ただ、慣れてくれば少ないポリモデルでも、ハイポリモデルのようなクオリティに仕上げることができます」(牛山氏)

さらに、球体のモデルをサンプルにして、スムーズメッシュに適する分割がどのようなものかについても語られた。7つの球体に異なる処理を施し、それぞれの違いを見ながら何が最適なのかを考え、実制作の際のルールを生み出していく。

牛山氏の制作上の多岐にわたるルールは、経験とテストに裏打ちされた無駄のないものであった。参加者にとっては非常に参考になる情報となったのではないだろうか。ここで語られてきたスムーズメッシュの特性、および、牛山氏のルールを念頭に、それを人間の顔のモデリングの応用する方法論が披露された。スムーズ化する前提で、主に4角形、5角形ポリゴンで作られたモデルを使い、それをスムーズ化していく。牛山氏は、調整を加えることで顔のバランスや凹凸、陰影がいかにして変化していくかということを具体的に示していく。

「エッジが5本以上集まらないようにし、すべてを4角形化していくのが理想です。しかし、それにこだわって苦労するよりは、3角形やそれ以上の多角形が混在しても、正方形に近いタイルが無理なく整然と並ぶようにしていく方がいいと思います」(牛山氏)

基本的な考え方を押さえたところで、実際にポリゴンによる顔のモデリング手順が紹介された。読み込んだ顔のイメージスケッチをベースにし、球体を変形させて顔の形を表現していく。眼球を包むように構築されている瞼、2つの鼻孔をリアルに表現した鼻、複雑な形状の耳を、より自然な形で表現するためのコツが次々に披露され、牛山氏の引き出しの多さと細かなルール設定の秀逸さを改めて実感させられる結果となった。また、口や瞼、筋肉の動きが顕著な首など、アニメーション上で動きが必要となるパーツについて、動きを想定した上でのUV展開などについても解説された。

至高の技術を“盗む”ことが、モデリングの質を向上させる近道

時折、制作過程をまとめた動画なども活用しながら、牛山氏のモデリング技術が公開されていく。人間の顔やその表情のモデリングのほか、ダイヤモンドのモデリング、フレンチクルーラー(ドーナツ)のモデリング、コイルスプリングのアニメーションなど、独特の形状、動きを持つオブジェクトを例に挙げ、それらのモデリングの仕方、あるいは、特徴を把握した上での表現の仕方も解説された。

牛山氏が次々に繰り出す至高の技術論、tipsは、モデリング手法における基礎から応用までをまんべんなく包括した内容。ありとあらゆるものを形にすることを求められる3DCGの制作現場で、間違いなく役に立つアイディアがたっぷりと詰まっていた。3時間を超えるセミナーとなったが、その充実度は、時間が経つのを忘れるほど有意義で、濃密な情報に満ちていた。