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Unite 2017 Tokyoレポート「僕らのVR元年はこれからだ!少人数開発 PS VR「ヘディング工場」企画とアートと技術と。」2

5月8日、9日の2日間に渡り、東京国際フォーラムにおいて「Unite 2017 Tokyo」が開催された。Unite 2017 Tokyoとは、ユニティ・テクノロジーズ(本社:アメリカ)が開発したゲームエンジン「Unity」ユーザーのための一大カンファレンスイベントで、各種セッションやブース出展を通じ、ユーザーがUnityへの理解度を高め、利用方法のバリエーションなどを増やすことが目的である。イベントでは本社スタッフをはじめ、Unityを活用する企業のメンバーなどが多数登壇し、ゲーム制作の枠を超えた興味深いセッションが行われた。

この最先端情報満載のカンファレンスの中から、いくつかのセッションを抽出。ゲーム制作に携わる人たち、あるいは、ゲーム業界に近いところで活躍する人たちに向けてレポートをお届けする。

気鋭のゲームスタジオ「ジェムドロップ」のお2人が制作現場の裏側を語るセッションの第2弾。

「僕らのVR元年はこれからだ!少人数開発 PS VR「ヘディング工場」企画とアートと技術と。」1より続く

 

タイトなスケジュールと限られたマンパワーを打破するためのコンセプト

ジェムドロップ株式会社の代表取締役、北尾雄一郎氏は、少人数開発のVRゲーム「ヘディング工場」の制作方針について言及する。それはシンプルながら、コンパクトな体制で新たな世界観を構築していく上で不可欠な行動目標となっていた。いかに効率よく制作を進めていくかを考えた結果、

  •  一人たりともVR酔いをさせない
  • 現実より非現実の世界を描く
  • まずはPS VRで制作をする
  • 短期間開発→PS4でも制作実績のあるUnityを採用

といった方針が打ち出されたという。

続いて明かされたのは、開発スケジュールとスタッフの内訳。

DK2で開発した1度目の試作は2015年7月~9月ごろ行われ、PS VRを用いた2度目の試作が2016年4月~7月ごろ。本制作は2016年8月から17年1月まで、およそ6か月かけて行われた。制作中はカオス状態に陥ったこともあったようだが、イベントに出展してユーザーにプレイしてもらい、そのフィードバックを得るという手法は開発に大きなプラスになったそうだ。稼働したスタッフは、ヘルプが入ることもあったが基本は極少とも言える10名ほどだった。

タイトなスケジュールの中で生み出された「ヘディング工場」だが、短期間での開発を成功させたポイントはどこにあったのか。アートディレクターとして開発に参加した増田氏はその苦労と成果について振り返る。

「少人数で、時間がない状況。普通に考えたら間に合わないというスケジュール設定の中で考えたのは、『無理しないで作れる世界観にする』ということでした。」

短期開発という縛りと向き合わざるを得なかった増田氏をはじめとするスタッフが採用した世界観は、

  • 少ないアセットで構成できる世界
  • お安く作れる謎キャラがいる世界
  • シンプルな質感でもいい世界

クオリティを落とすことなく、スケジュールとマンパワーの問題をクリアにし、それでいてきちんと成立する世界観を構築する。慢性的にタイトなスケジュールで進行しがちなゲーム開発業界においては、ある種の開き直りともとれるこの手法は、何らかのヒントとなるのではないだろうか。

 

 

■Unite 2017 Tokyo オフィシャルサイト https://unite.unity.com/ja/2017/tokyo