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ディライトワークス『Fate/Grand Order』制作現場で活躍するMaya(1)

ディライトワークス『Fate/Grand Order』

さまざまゲームやアニメーションで人気の『Fate』シリーズ。シリーズ初のスマートフォン向けゲームとして配信され、好評を博しているのが『Fate/Grand Order』だ。開発、運営を行なっているディライトワークス株式会社では、キャラクター制作などに『Autodesk Maya』(以下、Maya)を使用しているという。
同社のデザイン部3Dセクションでマネージャーを務める島野伸一郎氏と、デザイン部2Dセクションでマネージャーを務める角崇康氏に、Maya活用法をメインにお話を伺った。

 

バトルシーンのキャラクターにMayaを活用

──本日はよろしくお願いいたします。まず、Mayaを選んだ理由をお聞かせください。

角氏「『Fate/Grand Order』のバトルシーンのキャラクターは、一見2Dのように見えますが、Mayaを使用して作られています。
開発当初は2Dツールを使用する事も検討していたのですが、実験してみるとどうしても表現が固まってしまいました。『武器を振り回したい、ダイナミックに見せたい』と演出にこだわっていった結果、2Dツールの限界も見えてきました。そこで『表現をちゃんと実現できるツールを使おう』と考え、Mayaを選択しました」

島野氏「開発当初、ゲーム画面の構成として考えていたのは、味方のキャラクターと敵のキャラクターが横に向き合った構図です。そのイメージ通りにキャラクターを並べて魅力的に描ける、更に多くの事ができるという将来性までを見据えた上で開発できるツールとして、Mayaを選択して開発をスタートさせました」

 

──具体的には、どのように2D的に見せているのでしょうか。

角氏「キャラクターは一枚のポリゴンにテクスチャーを貼って組み合わせているのですが、背景も含め、全てを3D空間に配置しています。キャラクターが武器を振るとき、単純にx軸y軸だけじゃなく、z軸で横に振らせることもできます」

島野氏「つまり見た目とは裏腹に、やっていることは普通の3Dキャラクターによるバトルと変わりません。『Fate/Grand Order』のキャラクターには、背中を見せるようなアクションもあります。この場合、あらかじめ背中側のポリゴンとテクスチャーを作り、アニメーションの中で横向きのキャラクターと背中を向けたキャラクターを切り替えるという工夫をしています」

角氏「最近では、キャラクターを構成する要素の4割以上が、3Dモデルの場合もあります。その場合、最初からフル3Dで構成するという考えもあるかもしれません。しかし近年では、3Dのトゥーン調レンダリングシェーダーの技術がかなり高くなり、スマートフォンでそれが実現できるようになってきています。
2Dアニメーションやイラストのいい所は残しつつ、2Dのボーンアニメーションが苦手な、奥行きのある表現は、3Dモデルを作ることによって補いました。2Dのいいところと3Dでしかできないことを融合させた表現ができるよう工夫しています」

 

──バトルでのキャラクターのアニメーションも魅力的ですが、あのメリハリを付けた動きはどのように製作しているのでしょうか。

角氏「リミテッドアニメで用いられる〝タメツメ〟に気を付けています。テレビアニメのいいところをゲームの中で再現したいという思いから始まっています」

島野氏「おおもとのイメージは、共同制作のTYPE-MOONさんから絵コンテで頂きます。それに基づいてイメージを補間し、迫力のある動画を製作してTYPE-MOONさんにお見せして、フィードバックを受け、手を入れる。両者が納得いくまで何度でもやり取りをして、最終的に理想系のアニメーションを完成させます。これをローンチ前から現在に至るまで、ずっと続けています」

 

──場合によっては何往復もすることもあるのでしょうか。

島野氏「以前はありました。しかしTYPE-MOONさんと弊社で一緒にやってきた経験値がありますので、現在はいただいた要求に期待以上の完成度で応えることを目標にしています。
ゲームに限らず映画でも音楽でも同じだと思いますが、作り続けていると更に上を、更に上をと目指していくのが、クリエイターとしての常ではないでしょうか。『Fate/Grand Order』も目指すレベルが高くなってきていますので、更に質を高めていきたいと思っています」

FGO key visual

 

──『Fate/Grand Order』には多数のキャラクターが登場しますが、バリエーションが豊かでどのキャラクターも魅力的です。

島野氏「スマートフォン向けのゲームでは、如何に遊んでくださる方々に魅力を感じていただけるキャラクターを作り続けるかが課題になってきます。そこで効率が良く低コストだからと、ボーンのテンプレートをAタイプBタイプCタイプと設定し、全部のキャラクターを当てはめるようなやり方はしたくないんです。
『Fate/Grand Order』では、1体1体をユニークなキャラクターとしてこだわりを持って個別に作っています。
規格外のキャラクターを作る場合、たとえば尻尾が伸びていたりするキャラクターであっても、形状に合ったポリゴンを作成し、細かく動かしたい区間すべてにボーンやウェイトを設定しています」

 

ディライトワークス『Fate/Grand Order』制作現場で活躍するMaya(2)に続く)