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ディライトワークス『Fate/Grand Order』制作現場で活躍するMaya(2)

FGO key visual

Mayaを利用した3D背景の制作

──背景はどのように制作されているのでしょうか。

島野氏「『Fate/Grand Order』では、最初に2D背景が描かれます。これは、アドベンチャーパートでキャラクターの立ち絵の後ろに表示されるものです。そのあとバトルに移行するので、アドベンチャーパートの2D背景を立体的に再現した3Dの背景を制作しています。

バトルシーンではキャラクターはxyz、全ての軸を自由に使った幅の広い動きをするので、その土俵となる背景も文字通りフル3D、立体で作らなければならないという条件があります。背景を書き割りのようなものと受け取られている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はx軸やz軸にかなり広い背景になっています。

いわゆるアクションゲームの1ステージのような広さがありますが、カメラがぐるっと回り込む動きはしない、というレギュレーションがあるため、ある程度方向を絞った作り込みが可能です。デザイナー目線で『どうすれば情緒豊かな背景が作れるか』Maya上でゲーム画面の完成形を確認しながら知恵を絞って取り組んでいます。

ただ、3D背景の制作は簡単にいくとは限りません。アドベンチャーパートの舞台が狭い室内、たとえば6畳一間くらいの和室でバトルが発生するケースがあったとします。
6畳なんて狭さでキャラクターがジャンプやバックステップをすると、天井を突き破るし壁は突き抜ける、全くゲームとして成立しなくなります。そこでイメージは踏襲しながら、ゲームとしての広さをちゃんと確保できるよう、いつも頭を悩ませています」

角氏「技術的な部分は他社さんとあまり変わりません。多分皆さんがこうやってるんじゃないかなという部分をそのまま作っているのが大半です。違うのは、スタッフ全員が本当にこのコンテンツが大好きなので、意気込んで製作に取り組んでいます」

島野氏「『Fate/Grand Order』は、サーヴァントと呼ばれるキャラクターの魅力が第一です。しかし、ただ単に白いバックの上にキャラクターが立っていても、キャラクターの奥深さは表現できません。我々の存在する世界と同じように、緻密に作られた背景の上に立たせることが非常に重要です。
背景にはその時代や場所、その地面が汚れているのか、錆のような匂いがするのか、といった、伝えなければならないメッセージがあります。匂いが伝わってくると錯覚するくらい説得力を持たせられれば、キャラクターとの相乗効果により1+1が3にも4にもなって遊んでくださる方々に伝わると思っています。

また、ゲーム画面の背景は一番面積が大きく、本当に隅から隅まで映るものです。どんなシーンでも、背景が映ってないことはありません。このように非常に重要な要素ですから、我々はキャラクター命ではありますが、それ以外のところもしっかり作り込んでいます」

 

エフェクトにもMayaを活用

──他にMayaを活用されている部分はありますか。

島野氏「他には、バトル中の攻撃、被弾などのエフェクトでも使用しています。スプライトで表示するものだけではなく、あらかじめMayaで3Dオブジェクトを作っておき、Unityのパーティクルシステムで表示させています。
一例としてエフェクトで花びらが散るとき、花びら一つひとつをちゃんとMayaで作り、それを仕込んでいます。

エフェクトは本来目に見えないものの表現です。パンチが相手の身体に当たっても本当は何も見えませんが、それをエフェクトで可視化して表現しています。そのエフェクトを瑞々しく、感性に訴えるようなものにすることを心がけています」

──瑞々しいエフェクトというのは、キーワードですね。

島野氏「記号的であってはいけないと思っています。記号化するのが一番単純で分かりやすいのですが、パンチが当たったら〝!〟が出るという単純な方程式に落とし込んでしまうと、イマジネーションは広がりませんしクリエィティブは死んでしまうんです。
そうではなく、この状況ではどんな衝撃が走るんだろう、それは可視化したらどんなビジュアルになるんだろう、という視点で追及しないといけないんです。デフォルメや省略、誇張はその次にある工程ですので、一つひとつのエフェクトをちゃんと瑞々しい、独自に考えられたものにしたいと考えています」

角氏「エフェクト全般を作っていくうえでスタッフが悩んでいるのが、背景との重ね合わせです。暗い背景でも明るい背景でも同じエフェクトが出るため、背景がすごく明るいとエフェクトが見えなくなることが多いんです。それをどんな場面でも意図した効果が出るよう、妥協しがちなところを調整を重ねて作っています」

 

ディライトワークス『Fate/Grand Order』制作現場で活躍するMaya(3)に続く)