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セミナーレポート「3D & ヴァーチャル リアリティ展」-2

製品パッケージのすべてをCGで制作

キヤノンにおけるデザインプロセスの中で、キヤノンには「ワンソース・マルチユース」というもう一つの特徴がある。従来、デザイン開発と広告宣伝に関わるプロモーションというのは分業されていたが、ユーザーへと作り手のメッセージをより効果的に伝えていくために、キヤノンでは制作したCADデータを製品製造から製品プロモーションまでシームレスに活用している それが「ワンソース・マルチユース」なのである。これにより全体の効率化が図られることに加え、オムニチャネルに対応したプロモーションの早期着手が可能となったという。

「製品CADの活用事例として、3Dプリンタによるモックアップ制作が挙げられます。また、製品CADデータの活用事例としては、ヴァーチャルプロダクトシミュレーターが挙げられます。さらに医療機器の例を挙げると、CADデータと人間の身体データを同じ空間に表示することが可能となります。なお、ヴァーチャルプロダクトシミュレーターを使うことにより、モックアップを作成する前の段階で精度の高い検証ができるようになりました」

CGの活用事例としては、プロダクトデザイナーが作成したデザインはCGデザイナーへ渡され、CADデータからポリゴンデータへ、そして高品位なCGへと作成していく。このプロセスの中で生まれてくる事例として、CGデザインの中で最も歴史があり効果を上げているパッケージ群が挙げられるという。

「従来はパッケージに掲載する製品は一つひとつ物撮りをしていましたが、現在では弊社のカメラやレンズのパッケージはすべて高精細なCGを使用しているほか、広告宣伝にも多数のCGを使用するようになりました」

2016年、キヤノンではEFレンズの累計生産本数が1億2000万本を達成。それを記念して歴代製品を集めたポスターを制作したが、古い製品が綺麗な状態で保存されていなかったり、すべての製品を1箇所に集めて撮影をするのは容易に進まなかったりする。このようなときでもCGデータが重宝されているという。

「そのポスターでは、古い製品に関しては物撮りの写真、新しい製品に関してはCGを使ってそれを合成して使っています。古い製品写真はハイライトの位置などが様々だったため、それをCG上でライティングなどをコントロールすることで写真とCGを組み合わせてまったく自然なポスターに仕上げました」

「ワンソース・マルチユース」の大切なポイントとしては、製品ごとにCG作成していくことで定常的に多くのCGコンテンツを作成していくことにある。そして、それらのCGをインターネット上や印刷物などで活用をしているが、重要になってくるのは自社のCGとしての一貫性 とくに質感に一貫性を保つことだという。

「このような課題に対して、複数のデザイナーが異なる環境で作業をしていたら当然質感にばらつきが生じます。そこで我々は質感を決める標準環境を構築し、そこでCGデータを作成するようにしています。そして、その標準環境のルールとして次の三つのことを決めています。一つめとしては、光の量をカメラの適正露出と同じように18%にすること。二つめとしては、色や質感を見て判断するとき、そのときの見るアングルを一定にすること。三つめとしては、質感制作は必ずこの環境ルールを守っておこなうこと。そして、この環境の下でプロダクトデザイナーが決定したCMFをCGデザイナーが試行錯誤しながらCG上で表現し質感データに置き換えていきます。そこで大切なのは、それらの質感データを標準化してアーカイブしていくこと。そうすることによりアーカイブしたデータを他の製品にも展開していくことが可能となり、キヤノンとしてのCG上の質感に一貫性を持たせることが可能になりました。さらにアーカイブしたことで、CGデザイナーにとっても演出や表現方法などクリエイティブな部分に時間を割くことができるようになっています」

キヤノンでは現在デジタル化が進んでおり、これらのCGコンテンツのタッチポイントはEコマースなどのWebサイト、CGパッケージや雑誌、自社制作の広告ポスター、Webムービーなど、様々な場で見ることが増えている。それらのタッチポイントにキヤノンが作成した一貫性を持つCGを置くことによってブランドに大きく貢献でき、製品に最適な空間をCGで提示することによりブランド価値の向上にも貢献しているという。

 

セミナーレポート「3D & ヴァーチャル リアリティ展」-3に続く)