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「UNREAL FEST EAST 2017」セッションレポート VRゲーム「AIRTONE」(前編)

去る2017年10月8日、Epic Games Japan が主催するオフィシャルの Unreal Engine 大型勉強会「UNREAL FEST EAST 2017」がパシフィコ横浜にて開催された。本イベントは、Unreal Engine の活用法を学びたい多く人のために、Unreal Engineの魅力を感じてもらえるよう無料で開催された。イベント自体は「勉強会」という位置づけではあるが、を使って開発をおこなうゲームメーカーや制作会社のスピーカーなども迎えて、3トラック16セッションを擁する一大イベントとなっている。

その中で今回は、「VRゲーム”Airtone”制作事例 ~VRを活かす3つのゲームデザイン的挑戦~」と題され講演がおこなわれたセッションを紹介したい。

 

ゲームエンジンの登場でデザインや試行錯誤への注力が可能に

本セッションに登壇したのは、Unreal Engineを用いたアーケードゲームやコンシューマーゲーム、ソーシャルゲームの開発を手がける株式会社ヒストリアの代表「佐々木 瞬」氏。 2017年に入ってからはHTC Vive/Oculus Riftに対応したVRゲーム「AIRTONE」(販売:AMG GAMES)の開発を手がけており、本セッションでは「AIRTONE」における制作事例が語られた。

 

株式会社ヒストリアが企画立案から開発全般を担当した「AIRTONE」は、いわゆる“音ゲー”である。ジャンルとしてはバーチャル空間で体験する「エアーリズムアクション」であり、プレイヤーはメインキャラクターである女の子「ネオン」の相棒ロボットとなって“リズム”を集めていくというゲームになっている。

この「AIRTONE」ももちろん、Unreal Engineを用いて開発をおこなっているが、このようなゲームエンジンでゲーム開発をおこなうようになったことで大きな変革がおこったと佐々木氏は話す。

「Unreal Engineのようなゲームエンジンが無い世界ではゲームの基礎システム部分を作っていくだけでかなりの時間的、金銭的コストが必要となり、それが出来上がってからゲームデザインやルールの実装を本格的に詰めていくという状況でした。それがUnreal Engineのようなゲームエンジンが登場したことで、ゲームの基礎システム部分はゲームエンジンに任せられるため、ゲームデザインやルールの実装、グラフィック、さらには試行錯誤というところに注力できるようになりました。そのため、ゲーム開発におけるゲームデザインの重要性が増してきたと感じています。またUnreal Engineでは、アンリアルウェイと呼ばれるワークフローによりゲームデザインが効率化できるため、試行錯誤もしやすくなっています」

 

 

「AIRTONE」を開発するにあたり、以下の三つを目指したという。

・和製王道VR音ゲー

・見ていて楽しい

・10時間以上遊べる

「この『AIRTONE』を定番アプリにしたいという思いから“王道”にはこだわりました。また、VRというと一人の世界に閉じこもりがちになりますが、『外から見ていても一緒に楽しめないか』というところもコンセプトにしました。そして、VRのゲームというと30分程度プレイしてそれで満足するというタイプが多いのですが、『AIRTONE』ではそうではなく、ガッツリ遊べ、しかも繰り返し長く遊べるゲームというところにもこだわりました。そうしないとビジネスとして成り立たないという思いもありましたので」

 

試行錯誤にこだわった「AIRTONE」では、テストプレイを徹底的におこなって開発を進めたのも特徴となっている。

「『プロトタイプ・プリプロ』『VS(バーティカルスライス)』フェーズでは、来客者に対して週一ペースでテストプレイしていただきました。クライアントの承認を得てNDAを取ることナシにテストプレイしていただいたので、時間があまりない方にもどんどんプレイしていただきました。それと同時並行して、外部ゲームデザイナーにゲームデザインのレビューを月一ペースでおこなっていただきました。そして『量産』フェーズになりますと、学生を20名集めてフォーカステストを実施しました。さらに『QA』フェーズでは、クローズドベータテストを公募制で2回実施しました。最初は10~20名ぐらい、二回目は150名ぐらいに参加していただきましたが、そのうち50名は海外のプレイヤーです。このように、石橋を叩いて叩きまくるという開発スタイルをとったのが本作品の特徴です」

 

「UNREAL FEST EAST 2017」セッションレポート(後編)に続く