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「UNREAL FEST EAST 2017」セッションレポート VRゲーム「AIRTONE」(後編)

「UNREAL FEST EAST 2017」セッションレポート(前編)より続く

 

10時間以上遊べるVR“音ゲー”へのチャレンジ

「AIRTONE」を10時間以上遊べるゲームにするために、以下の三つのチャレンジを試みたという。

・判定線の無い音楽ゲーム

・VRならではの遊びを与える未知のドローパート

・メインキャラクターの少女(ネオンちゃん)との生活空間を作り出す

 

「AIRTONE」では「“音ゲー”の楽しさ=音楽にノってリズムを刻むだけで楽しい」という“楽しさ”を追求するため、「叩く」を基本動作に決定している。それが世界初のVR“音ゲー”「Audioshield」との違いである。ただ、「叩く」だけではアバウトな遊びにしかならないため、正確にタイミングが取れる「トリガー」も導入している。

「『AIRTONE』のメインゲームでは、トリガーを振って向かってくるマーカーをキャッチすることでプレイします。そのマーカーの飛び方にはかなり試行錯誤をおこないました。というのも、最初はさまざまな場所からマーカーが飛んできて、身体全体を使ってキャッチする遊び方を想像していたのです。しかしヘッドマウントディスプレイの視野角が110度に対して、人間の視野角は180~200度。現実の視野角よりもヘッドマウントディスプレイの視野角は相当狭い。そのため、手を大きく広げてではなく、手を前に突き出したチマチマした遊び方になることが判明しました。そこで、音による視線誘導や左右に段階的に配置する視線誘導、UIによる視線誘導を試してみましたが、どれもうまくいきません。

ただ、プレイをしている最中はマーカーが手元に到達したとき、トリガーを振っても間に合いません。そのため、手元に到達する前からマーカーを見て、『この速度でこう飛んできてるんだから、この辺りに、このタイミングで着地するだろう』と予想しているわけです。そこで視野角が狭くても、マーカーが飛んできた時点で手の位置にリングが光ったり、触れている線が揺れたりといった手の位置がわかる工夫をすれば、ダイナミックな動きができるプレイが可能になることが判明したのです。テストプレイの結果によると、この工夫により約70%の人が初見でもOKで、事前に説明をすればほぼ100%の人が問題なくプレイできました」

 

さまざまな試行錯誤をおこなうことにより、「AIRTONE」は「絵変わりする背景」「VRならではの空間の広がり」「よりダイナミックな身体の動き」を実現したプレイが可能となった。また、ドローパートでは「トリガーによる指揮者のような遊び」を目指したものの、ヘッドマウントディスプレイの視野角の狭さからリズムパートに寄せたものへと変更。「なぞる遊びの強化版」が実現した。

 

ルームパートをつくることで10時間以上のプレイを実現

「AIRTONE」のコンセプトの一つである「10時間以上遊べる」を実現するために、ルームパートを加えていることも同ゲームの特徴となっている。

「リズムパートだけでは疲れてしまい、10時間以上遊ぶことはできません。そこでルームパートを加え、メインキャラクターであるネオンちゃんと生活できる空間を作り出しました。ただ勘違いしてはいけないのが、『AIRTONE』はリズムゲームであり、プレイを進めていくモチベーションはあくまで曲の解禁です。本ゲームのユーザーが目指しているのは『新しい曲が手に入る』ことだと思いますが、曲をポンポン与えてしまうとコストも嵩んでしまいます。そこで、曲が増えるまでの繋ぎとして、『生活空間内の家具が増える』とか、小規模なシナリオを設定して『シナリオをクリアする』というような目的を与えるというイベントを設定。ユーザーのモチベーションが続くようにしました。

ただ、ネオンちゃんとは一緒に住んで生活しているというのがコンセプトなので、プレイヤーにあまり構い過ぎないようにしました。ネオンちゃんはネオンちゃんで勝手にそこいるし、プレイヤーはプレイヤーで勝手に何かしている、というように」

 

試行錯誤を繰り返して完成した「AIRTONE」。その甲斐あって、SteamVRランキング(日本版)で1位を記録。カスタマーレビューでも「非常に好評」を獲得し、Oculus世界ランキングでも最高位3位を記録したという。