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Toon Boom社『Harmony』日本向けアニメーション制作トレーニング(トラディショナルワークフロー編)

ToonBoom Animationカスタマーサクセス ディレクターのMarie-Eve Chartrand氏

 

2018年2月13日~14日、ダイキン工業株式会社社東京支社内のセミナールームにて、Toon Boom 社のデジタルアニメ制作ソフトウェア『Harmony』のハンズオントレーニングが開催された。一人1台のPCを用意して行われたこのトレーニングでは、『Harmony』の概要をはじめ、日本のアニメーション制作のワークフローに沿った作画、仕上げ、撮影までを体験することができた。本稿ではこのトレーニングの概要をお届けしたい。

 

従来型のセルアニメ作成も対応する『Harmony』

本セミナーに講師として登壇したのは、Toon Boom Animationトレーニング ディレクターのMarie-Eve Chartrand氏。冒頭、Toon Boom社と『Harmony』の紹介からスタートした。

Toon Boom社はカナダの会社であり、アニメーション制作のためのソフトウェアを提供し始めて25年になる。同社では『Storyboard Pro』、今回紹介する『Harmony』、最近リリースした『Producer』という製品を販売。現在では数多くのアニメプロダクションが、『Storyboard Pro』を使用してデジタルで絵コンテを作成しており、アニマティックスを使う上でも活用されている。

「『Harmony』はデジタルアニメーション制作ソフトウェアです。様々なスタイルを組み合わせてアニメーションを制作できるのが特徴となります。たとえば、従来型のセルアニメやカットアウトを使った手法、また2Dと3Dの組み合わせといった制作方法にも対応しています」(Chartrand氏)

 

同社の目標は、世界で愛されている日本アニメーションの制作のためにデジタルツールを提供すること。そのため、これまで培ってきたアニメーションの制作方法を変えるのではなく、あくまでアニメーション制作を手助けするためのツールとなっている。その中で『Harmony』には様々な機能が搭載されており、従来のセルアニメの描画として作成する方法のほか、カットアウトアニメの手法を使用して動画を制作することも可能だ。

「ご理解いただきたいのは、『Harmony』はカットアウトアニメのためだけのソフトウェアではないこと。従来型のセルアニメにも対応しており、それに合わせたタイムシートも提供しています。アニメーション制作のための機能として、デザインやカラーの設定ができるとともにカメラワークも行っていくことができます。たとえば、3Dでカメラの視点を決めたりエフェクトを使ったり様々なプラグインを用いてエフェクトを追加していくこともできます」とChartrand氏は話す。

 

また、『Harmony』は単一のアプリケーションではあるが、複数の人物が同時に作業を進めていくことができる。たとえば、原画を描くことから作監(作画監督)チェックを入れること、そしてレイアウトから撮影まで、この1つのアプリケーションでこなすことが可能となっている。

「私たちは2017年の夏頃からD’ART Shtajio(https://dartshtajio.com/)と『Harmony』を使用したアニメーションの制作を進めています。その手始めとして制作されたのが、完全デジタル化された『少女のピエロ』という短編アニメーションです。私自身が『Harmony』の10日間の研修を行っていますが、この作品では、動画から修正、そして仕上げ、撮影にいたるすべてに『Harmony』を使用して制作がなされました」(Chartrand氏)

 

『少女のピエロ』本編動画

色指定から撮影までのワークフローをカバー

『Harmony』を用いたアニメーションの制作フローは以下のようになっている。

 

フローチャートの参考例

ラフ原画は、紙と同じようなかたちで作成が可能だ。右側に表示されるデジタルタイムラインを使用することにより原画を作成していく過程で修正やチェックが入った際に色を変えて「誰がチェックを入れたのか」を表示してくれる。作監チェックについてもタイムシートで色を変えることができるため、セル画で制作しているアニメーションと同じようなかたちで入れていくことができる。

また、動画を作成する際には、ハイライトやシャドウを決めたり、動画として描いているような中割を作成したり、クリーンアップ作業をしたりすることができる。北米では通常、ハイライトとシャドウは別のレイヤーで作成するが、日本でのやり方に合わせて1つのコラムにハイライトとシャドウをまとめて入れることが可能となっているのが特徴だ。

色指定については、Photoshopであれ、他のペイントソフトであれ、どういったソフトで作成したキャラクターでも『Harmony』に取り込むことができる。レイアウトには、『Harmony』にはパースガイドや背景を描きやすく支援するツールが用意されている。

ペイントツールを使用してキャラクターに色を塗っていく仕上げの作業については、カラーモデルを使って色を入れることもできるほか、パレットを使って色の指定もできる。そして、動画を作成した後は、背景画と、全景が入っているBOOKとまとめて1つに絵にして撮影を行う。撮影を行う際にはマルチプレーンでカメラモーションを決めることやカメラの角度の調整ができるだけでなく、同時に、タイムシート、タイムラインが下部に表示されるため、同期させて作業を進められる。また、撮影の後にかけるエフェクトは多くの種類が用意されているほか、オープンエフェクトなどのプラグインからエフェクトを追加していくことも可能だ。

『Harmony』で作成した後に撮影だけはAfter Effectsで行う場合には、『Harmony』からドローイングレイヤーごとにAfter Effectsへエクスポートを行い、イメージのシークエンスに合わせて撮影作業をAfter Effects上で行うことも可能となっている。

このように『Harmony』を使用したアニメーション制作フローの概要が説明された後、実際に『Harmony』に触りながらのハンズオントレーニングが行われていった。

 

1日目のプログラム

プロジェクト・カットを作成

Harmonyのインターフェイスの理解

設定: アニメーション制作の準備

デジタルタイムシートでの作業

Harmonyでレイアウトを作成と作監チェック

ヒント:紙からデジタルパイプラインへの移行方法

 

ラフ原画を作成する

 

2日目のプログラム

ビットマップとベクターツールで原画を描く

Harmonyで動画とクリーンアップ作業

優れたカラーパレットと自動ツールを用いた仕上げ

Harmonyで撮影とエフェクト作成

サードパーティ製アプリへの出力と撮影

 

撮影した動画にエフェクト処理をかける

 

本トレーニングでは上記のメニューがハンズオン形式で行われており、プロジェクト・カットの作成から撮影まで、『Harmony』におけるアニメーション制作の一通りを習得できる2日間となった。