このサイトはダイキン工業が運営するCG業界ニュースサイトです。
お問い合わせ

「AnimeJapan 2018」クリエイションセミナーレポート ~「3DCGの現在とアニメの未来」について~(1)

去る2018年3月22日~25日にかけて、「AnimeJapan 2018」というイベントが東京ビッグサイトにて開催された。本イベントには、国内外を代表するアニメーション関連企業・団体が多数出展したほか、アニメ作品展示・グッズ販売、ステージやイベントなど、エンターテインメント関連からクリエイション関連、ビジネス関連まで、アニメーションのすべてが集結。15万人以上の来場者を記録した世界最大級のアニメーションイベントとなっていた。

本稿ではこのイベントのうち、アニメ評論家「藤津亮太」氏の司会のもとで、ポリゴン・ピクチュアズ(http://www.ppi.co.jp/)のアニメーション監督「瀬下寛之」氏、同ポリゴン・ピクチュアズの造形監督「片塰満則」氏、同ポリゴン・ピクチュアズのCGキャラクターデザイン担当「森山佑樹」氏が一堂に会して開催されたセミナー『「3DCGの現在とアニメの未来」について』の模様を紹介していきたい。

アニメ評論家の藤津亮太(ふじつ・りょうた)氏(左)と、ポリゴン・ピクチュアズの瀬下寛之(せした・ひろゆき)監督

片塰満則(かたあま・みつのり)造形監督(左)と、CGキャラクターデザイン担当の森山佑樹(もりやま・ゆうき)氏

 

「プレスコ」手法により統一感のあるCGアニメを実現

CGアニメは、従来のアニメの作り方とは異なる考え方や段取りで作られている。そこで本セミナーではアニメづくりの未来を探るべく、CGアニメ映画『GODZILLA 惑星怪獣』(http://godzilla-anime.com/)に、監督、造形監督、CGキャラクターデザインとして携わった三氏による対談がおこなわれた。

なお、描いた絵を3DCGの立体データにすると部分的に合わなくなる辻褄を合わせて、3Dデータとして完成させるのが造形監督の役割であり、キャラクターデザイン画を3DCGとして成立させていくのがCGキャラクターデザイナー担当となる。

『GODZILLA 惑星怪獣』のキャラクターデザインの原案を作ったのはコザキユースケ氏。その原案画から3DCGモデルを作成。ルックデブ(ルックデベロップメント)と呼ばれる工程で質感の設定をしたり、ライティングの設定をしたりすることでキャラクターモデルを完成させていくのが森山氏の役割だ。

「人形でいえば塗装する前の素体の状態からを立体としてどんな形状にするか、という作業がモデリングの工程です。ルックデブでいうと、髪の毛のハイライトを斬新なものにしているのが特徴です。髪の毛の質感は新しくこの表現でやらせていただきたいと提案したのですが、これはコゼキさんのカラーイラストの特徴を取り入れてルックデブの仕組みとして入れていきました」(森山氏)

そこから先は片塰氏の工程となっていくが、キャラクター原案に沿ってそのキャラクターの表情をアニメーターに対して指示していく。そこで『GODZILLA 惑星怪獣』が特殊なのは、「プレスコ(プレスコアリング)」という手法で制作をしていることだ。プレスコは日本のアニメ制作において一般的な「アフレコ」とは異なり、台詞や音楽を先行して収録するもの。その収録された台詞や音楽に合わせて絵を描いて作成するという手法だ。

「プレスコでアニメを制作する場合、声優の演技を聞いてから、このキャラクターにはこういう表情が合うのではないかと変えていきます。そうすると、台本の文字だけを見ていても理解できないところが、声優の演技を聞くことでイメージできるようになります。たとえば、叫び声一つとってもどんな感じで叫んでいるのかということがわかることで、それに合わせてキャラクターの表情を付けていきます。

もちろん、台本や脚本、設定決めの段階で話をするのですが、プレスコを付けた後でも『あのキャラクターはこんな感じの性格だったんですね』というようにコミュニケーションが進み、キャラクターへの理解がチーム内で共有できるようになります」(森山氏)

プレスコのメリットはそれだけでなく、アニメーターへの統一した指針にもなることだという。

「従来のアニメだとアニメーターが絵で描いた後に作画監督がすべて修正をかけて統一感をとるのですが、CGアニメですと一人のチーフCGアニメーターが統一をかけていくのは難しいところがあります。そうすると、どうしてもそれぞれのアニメーターの個性が残りがちで、バラツキも出ることがあります。それを押さえるためにもプレスコという手法は有効ですね」(片塰氏)

 

「AnimeJapan 2018」クリエイションセミナーレポート ~「3DCGの現在とアニメの未来」について~(2)に続く