このサイトはダイキン工業が運営するCG業界ニュースサイトです。
お問い合わせ

「AnimeJapan 2018」クリエイションセミナーレポート ~「3DCGの現在とアニメの未来」について~(2)

「AnimeJapan 2018」クリエイションセミナーレポート ~「3DCGの現在とアニメの未来」について~(1)から続く

 

ハリウッド版ゴジラとは異なる、神話的なゴジラの造形を目指す

『GODZILLA 惑星怪獣』におけるゴジラの造形は、これまでのゴジラ映画の造形とは明らかに異なっている。

「今回のゴジラのイメージとして最初にあったのが、ティーレックスのようなホンモノの恐竜を基にした形状にはしないこと。そこで考えたのが、想像上の生き物。神格化された雰囲気を持ち皮膚の組織は樹木っぽいというアイデアです。そのとき、僕が『ご神木が歩いているようなゴジラにしたい』と話したところ、スタッフからは『はあーっ?』という反応をされたのですが(笑)」(瀬下氏)

「爬虫類的なゴジラは、ハリウッド版ゴジラで科学的な考証を基にして既に作られています。そこで植物の写真集などもヒントにして、神話的なゴジラを目指してデザインをしていきました」(片塰氏)

“神話的なゴジラ”ということから西洋的ではない日本的な要素を盛り込むため、本作でのゴジラは奈良東大寺の金剛力士像や相撲力士に付いている筋肉の造形やスタイルを参考にしている。

「今回のゴジラは足が長く見えますが、なぜかというと、『普段は威厳を持ってゆっくりと歩いているけれども、本気を出したらもの凄く足は速い怪獣だ』と思わせたかったんです」(瀬下氏)

ゴジラの実際の3Dモデリングについて、最初のたたき台ではCGの中の粘土で作成している。フル3DCGで映画を制作する前は、CG映画であっても本当の粘土を使ってキャラクター模型を作成。それを基にしてキャラクターモデルを制作していたという。

「最初はモデリングというよりもスカルプティングというべきものですが、『ZBrush(ズィーブラシ)』というデジタルスカルプティング・ツールを使用して、粘土的にヴォリュームを付けながらモデリングをしていきました。まさにヴァーチャルな粘土をこねながらモデリングしていく感じですね」(片塰氏)

3Dモデリングのたたき台では、輪郭線を描きはじめるのではなくヴォリュームを確認していくことが重要となる。

「ゴジラのヴォリュームや筋肉の筋が重要でした。また、解剖学も引用しながら筋肉の繊維の流れも意識して3D上で確認しながら造形をしていきました。そこで3Dモデルが完成したところで、特殊な存在感を出すために2号影のことも考えていきます」(片塰氏)

たとえば、指と指の間を狭い部分を暗く表現することをCGの世界では「オクルージョンシャドウ」と呼んでいるが、それを2号影で表現しないとディティールが出ないという。

「顎と首の下や、脇の下など、隙間が暗くなるところも2号影で表現することでディティールが出てきます。背びれに入っている葉脈のような筋を表現する際も、2号影があることで形が浮かび上がってきます」(瀬下氏)

3DCGで制作されたアニメ映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は、2018年5月18日に全国公開される。その思いについて、瀬下氏は次のように語って本セミナーを締めくくった。

「『3DCGアニメ映画でゴジラをやります』と言われたときの最初の反応は『えっ!無理です!』でした(笑)。そこから3年半、スタッフの皆さんと一緒に試行錯誤しながら出てきた結果が前作の『GODZILLA 怪獣惑星』であり、新作の『GODZILLA 決戦機動増殖都市』です。今回の『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は、もの凄い映像ができましたので、是非劇場で観ていただければうれしいです!」(瀬下氏)

「AnimeJapan 2018」会場内においても、「3DCGの現在とアニメの未来」と題された展示ブースが用意されていた