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映像表現・芸術科学フォーラム 2018レポート 特別講演「メイキング オブ ABAL」(1)

2018年3月16日、東京工科大学蒲田キャンパスにて「映像表現・芸術科学フォーラム 2018」が開催された。本フォーラムは、「CG」「AR」「教育/映像作品」「画像処理/アニメ」などのジャンルに分かれ学生による研究発表が行われた後、特別講演が2本開催された。

本稿ではその特別講演2本のうち、ハードウェアとソフトウェアが一体となったVRシステム「ABALシステム」を紹介する講演「メイキング オブ ABAL」の模様を紹介したい。

 

「ABALシステム」ではリアルとヴァーチャルが融合した新しいVRコンテンツを提供

登壇したのは、CGデザインを主に手がけリアルタイムCG・VFX分野に強みを持つ株式会社wiseの代表取締役「尾小山良哉」氏と、ARなどを活用したソフト/ハードウェアの企画・開発を行っている株式会社A440の代表取締役「金丸義勝」氏の2名。本講演では、同2社に加え、株式会社ロボット(映画のプロデュースなどを主に手がけエンタテインメント制作および広告制作をおこなう)を合わせた3社とで2016年1月に設立されたジョイントベンチャー企業「株式会社ABAL」(https://www.abal.jp/)が手がけるVRアトラクションを中心に話が進められた。

同社が独自に開発した「ABALシステム」とは、VR空間内を自由に歩くことができるだけでなく、オブジェクトに触れ、多人数による共有体験ができ、ワイヤレスによって広い行動範囲が実現できるなど、さまざまなエンタテインメントシーンで活用できる革新的なVRシステムとなっている。

株式会社wise代表の尾小山良哉氏

株式会社A440代表の金丸義勝氏

 

株式会社ABALの水谷愛里氏をファシリティーターにして、まず紹介されたのは、2017年から2018年にかけて同社が開発・制作・運営を手がけた3本のVRアトラクション。最初は、2017年7月15日から8月27日まで開催され「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION」にて一般公開された『ABAL:DINOSAUR(アバル:ダイナソー)』 だ。6500万年前の恐竜たちがいた世界を舞台にするこのVRアトラクションは、同時体験者数は最大6名、15分の間、恐竜の大きさや声を体験できるものとなっている。

『ABAL:DINOSAUR』 のプロモーション動画

次は、45回東京モーターショー2017のデンソー展示ブースにて、2017年10月27日(金)~11月5日の間に公開されたVRアトラクション『Future Tech Lab』。デンソーの注力技術である「自動運転」「電動化」「コネクティッド」の3つをVR空間内で体験ができるものだ。

そして一番最近のVRアトラクションは、東京タワー開業60周年を記念して2018年1月27日~4月9日までの期間で開催されたアトラクション型プラネタリウム『MEGASTAR JOURNEY』。宇宙空間を自在に歩き回ったり、体験者同士での握手やハイタッチもできたりするなど、リアル⇔ヴァーチャルのシームレスな世界を体感できるVRコンテンツとは、自らの足で広大な宇宙を旅できる、全く新しい体験型のプラネタリウムとなっていた。

「ABALでは基本的に、VR空間内を複数の体験者が自由に歩き回れる『フリーローム』というタイプのVRアトラクションを作っています。体験者側が装着するのは、ヘッドマウントディスプレイと手足のトラッキングターゲットのみとなっており、身軽なところが特徴です。これらのVRアトラクションは、モーションキャプチャの技術が基となっており、人の動きをサーバー側に送って、手と足に付いているマーカーにより手と足の位置を認識する仕組みになっています。そして、その人の位置を把握した状況を、VRヘッドマウントディスプレイを通してプレイヤーがVRコンテンツを見えるようになっているわけです」(金丸氏)

 

同社が開発した「ABALシステム」の特徴的なところは、「自由移動」「触感再現」「共有体験」の3つが組み合わさって一つのVRアトラクションとなることだ。その中で「自由移動」については、スタンドアロン型のVRゴーグルを使用することで「いかに何も付けていないか」を目指している。また、「触覚再現」については、例えば人と人が握手できたり、手すりがある場所を触ると本当に手すりがあったり、といった触ったときの感覚を再現しているのがポイントとなっている。そして「共有体験」については、複数のプレイヤーが同時にVR体験できることを指している。

「『ABALシステム』の制作フローは、コンテンツを作るフルデジタルとリアルの現場を作る空間プランニングという、相反する両方の要素を加味しながら作っているところです。現場の大きさに合わせて、体験設定としてどこで何をするのかというフィジカルとヴァーチャルの要素を行ったり来たりしながら作成するところが特徴的だといえます」(尾小山氏)

 

映像表現・芸術科学フォーラム 2018レポート 特別講演「メイキング オブ ABAL」(2)に続く