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「Unite Tokyo 2018」講演レポート ~SDユニティちゃんを使った人形劇風CGアニメのメイキング~(1)

2018年5月7日~9日、東京・有楽町の「東京国際フォーラム」にて開催された国内最大のUnityカンファレンスイベント「Unite Tokyo 2018」。本稿では5月9日におこなわれたVolca株式会社による講演「SDユニティちゃんを使った人形劇風CGアニメのメイキング」の模様を紹介したい。

 

Unityだけを使ったオープニングショートムービーの作り方

「Unite Tokyo 2018」では各講演が始まる前には必ず、ユニティちゃんとボルカちゃんが登場するオープニングショートムービーが流れたが、そのムービーを制作したのがVolca株式会社である。そこで本講演で「ユニティちゃん×ボルカちゃん」のショートムービー「ユニティちゃん&ボルカちゃん♪~ウルトラアンケートアドベンチャー~」のメイキングを紹介する講演がおこなわれた。

 

登壇したのは、ゲームエンジンに特化したCGスタジオであるVolca株式会社の代表、加治佐 興平氏。同社では自社マスコットである「ボルカちゃん」の人形劇風CGアニメーションのすべてをUnityで制作している。同ムービーが生まれるきっかけについて加治佐氏は次のように話す。

「最初のきっかけとしては、私の子どもがNHKの乳幼児向け番組『いないいないばぁ ぐるぐるどっか~ん! 』ばかり観ているので、『私自身でも子ども向けの映像を作りたい!』と考えたことです。制作が始まった当時、当社にはまだ社員が2名しかいませんでしたが、冬休み期間にその社員2名と私とで制作したのが『ボーカルボルカちゃん』です。そしてこのアニメーションムービーは、今年、東京都が主催する「東京アニメピッチグランプリ」を受賞。フランス・アヌシー市で開催される世界最大規模のアニメーション見本市『MIFA(Marche international du film d’animation)』にも出展されることとなっています」

 

このボルカちゃんのリアルタイムデモをUnity側に見せたことをきっかけにして、ユニティちゃんとのコラボレーション動画が生まれることになった。

「ユニティちゃん×ボルカちゃんのショートムービーである『ユニティちゃん&ボルカちゃん♪~ウルトラアンケートアドベンチャー~』を『Unite Tokyo 2018』の講演の前にオープニングムービーとして上映することが決まったのが2018年3月15日のこと。8話分を納品するまで約1カ月半という短い期間しか与えられませんでした」(加治佐氏)

 

本プロジェクトが動き出すにあたり、いくつか課題があった。その最大のものはなんといっても制作期間が短いこと。また、本講演はビギナー向けで登録したため、制作方法が、Unityの標準機能だけを使用した、複雑ではないものに縛られたこと。そして、本ムービーは東京だけでなく中国・北京のUniteでも上映することが決定したため、ほぼ同じスケジュールで日本語版と中国語版を制作する必要が生じたこと。この3点には頭を悩ましたという。

「制作期間が短いことに対しては時間短縮に取り組みました。脚本の次に絵コンテを作らず、動画コンテをUnity上で作成し、動画コンテができると同時にシーン構築を完了。そして、最終イメージに近いシーンを最初に作成したら、皆で完成をイメージしながら随時更新していきました。また、3Dソフトでレンダリングはせず、コンポジットソフトも使わず、画像加工はすべてポストエフェクト処理で完結。クレジットについては、極力、ゲームエンジン中で実装したほか、ボイスや効果音もUnity上で実装することで大幅な時間短縮に成功しました」(加治佐氏)

 

Unity上で動画コンテと同時にベースのシーンを作成し、その上で各要素をアップデート。このような構成にすることで後半工程にはほぼ時間をかけないことに成功し、各要素をギリギリまで更新することが可能となった。ただ、最終納品に関してはUnityのRecoderが非圧縮ムービーに対応していないため、編集ソフト上でサウンドを実装する作業が発生したという。

「アニメーションムービー制作にUnityを使うことでレンダリング回数も極めて少なくすることができました。加えて、計算用PCなどの必要機材も減らすことができました。また、ほとんどの工程で、リアルタイムで最終イメージを確認できるなどといったUnityによる映像制作のメリットは大いに役立ちました」(加治佐氏)

 

「Unite Tokyo 2018」講演レポート ~SDユニティちゃんを使った人形劇風CGアニメのメイキング~(2)へと続く