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「Unite Tokyo 2018」講演レポート ~SDユニティちゃんを使った人形劇風CGアニメのメイキング~(2)

「Unite Tokyo 2018」講演レポート ~SDユニティちゃんを使った人形劇風CGアニメのメイキング~(1)から続く

 

Unityによる映像制作の可能性とは

「Unityの標準機能だけを使用した複雑ではない制作」に縛られたという今回の2つめの課題には、「Unityなら映像制作が簡単にできるよ」とアピールしたいという意味も込められているという。

「本アニメーションムービーの制作に使用したのは、Unity本体(Unity 2018.01b9)以外にはランチャーであるUnity Hub、カットシーン構築としてTimeline、エフェクトとしてshriken、ポスト処理としてPost Processing Stack、クレジット作成としてtext Mesh Pro 、動画キャプチャとしてRecoder、Dcc連携としてfbx Exporter、シェーダーとして小林さんshaderです。UnityHubは標準機能ではありませんが、ランチャーとして使用しました。なお、今回使用したUnityはベータ版であるUnity 2018.01b9ですがバグが多かったので、仕事で使うにはUnity 2017.4かUnity 2018.1を使うことをオススメします。

映像制作では、Timelineがすべての中心となりました。キャラ&背景アニメーション、エフェクト、ライティング、クレジットで使用しています。アニメーションの一部の修正をUnity上でオーバーライド修正できるところも重宝しました」(加治佐氏)

 

Post Processing Stackは絵作りには欠かせないアセットであり、ポストエフェクトも非常に高品質だ。問題点としては簡単にアニメーションさせられないため、公式のアニメーション機能が待たれる。そのほか、Unityの標準機能としてはベベルや厚みづけなど色々処理できるtext Mesh Pro、Unity上で叩きのレイアウトを作成した後にDCCにバックする際に活躍したというfbx Exporter、タイムラインと連携する画像キャプチャツールRecoder、PBRベースにテッセレーション機能が入ったものを、ポリ角を抑えるために利用した「小林さんシェーダー」も重宝したという。

「3年位前と比較すると、Unity標準機能だけの映像制作環境はかなり整ってきたと感じています。最後の3つめの課題には、日本版と同時に中国版を納品する必要があるという難題が控えていました。その際、リップシンクやボイスに加えて、背景の一部やボディアニメーションの一部を中国用にアレンジする必要もありました。それらは、すべての要素をTimeline上に実装することによって解決を試みました。」(加治佐氏)

 

同社の中国人スタッフである張 中崢氏によると、日本語と中国語では音の長さやタイミングが異なるという。

「音の長さやタイミングを合わせるためには、Timelineの機能を使って日本語版のアニメーションにオーバーライトドラッグをして調節をおこないました。このような形ですべてをTimeline上で実装することにより、ワンボタンで日本語と中国語を簡単にチェンジできるようになりました。このような多言語映像が簡単にできるのはUnityならではメリットだと考えています。新しい技術をどんどん取り込んでいけるのもUnityのようなゲームエンジンによる映像制作のメリットだと思います。例えば、HTC Viveで人の動きをキャプチャするなど、新たな技術を積極的に取り入れていきたいですね」(張氏)

 

Unityのようなゲームエンジンによる映像制作は、早さだけでなく選択肢が多いのも大きなメリットだと加治佐氏は話す。

「従来の映像制作方式がボクシングだとしたらゲームエンジンによる映像制作は総合格闘技。戦術の立て方次第で多くの人にチャンスがあります。学生がプロに、小さな会社が大きな会社に、日本がハリウッドに、勝つチャンスがあるのではないでしょうか。そこで、学生の皆さんに言いたいことは、とにかく映像を作りたいのであれば、迷わずゲームエンジンで映像を作りましょうということ。時間も、資金も、節約できますので、5年前なら想像できなかったような好条件が揃っています!

そして、モデラーやアニメーターなどのスペシャリストになりたい人に言いたいことは、Unityはリアルタイムでモデルやアニメーションを確認できるために、ビューワーとして使うだけでもメリットはあるということです。ゲームエンジンを扱える人に対するニーズは増大していますので、少し触っているだけでも就職が有利になる可能性はあります。

また、ゲーム会社の皆さんへ言いたいことは、自社のコンテンツに利用しているゲームエンジンで映像制作をしましょう、ということです。あるいは、映像制作をお願いしましょう。ゲーム内資産の再利用、もしくは増加が狙えます。

最後に、CGプロダクションの皆さんへ言いたいことは、映画など、ゲーム以外のハイエンド映像受託案件に対して、いきなりゲームエンジンを導入するのは危険である、ということです。プリレンダーと異なり、なんでも表現できるわけではありませんので、ゲームエンジンの特性を掴みながら表現を選ぶ必要があります。また、従来のパイプラインとの相性の問題が起こる可能性もありますので、どこまで表現ができるかを検証しながら、ゲームエンジンの導入を進めていきましょう。自社IPやショートムービーなどの案件から導入していくことをオススメします」

 

以上を締めの言葉として、30分弱の本講演が終了した。